臨床神経学

提案

症例報告の効果的な書き方

平賀 陽之1)*

Corresponding author: 千葉労災病院脳神経内科〔〒290-0003 千葉県市原市辰巳台東2-16〕
1) 千葉労災病院脳神経内科

症例報告は,臨床医の個々の経験を共有し,日常診療の洞察と落とし穴という有益な情報を提供してくれる.症例報告には,適切な症例の選択,十分な文献の検索,正確な症例の記述,投稿,査読への効果的な返答が必要である.この一連の過程が若い医師に学びの経験をもたらし,彼らの科学者キャリアを始動させる.症例報告の第一歩は,日常診療で常に患者の病態生理と解剖に注意し,典型的ではない点を考えて,文献を検索する習慣を持つことである.症例報告は稀さのみを重視するべきではない.報告に値する症例には明確な「学ぶ点」が必要である.よい症例報告は,明確,簡潔で首尾一貫しており,歯切れのよいメッセージを読者に伝えるべきである.
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(臨床神経, 63:305−313, 2023)
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(受付日:2022年7月30日)