臨床神経学

短報

外転眼に注視方向性の粗大な水平性眼振をともない,中枢神経障害の関与が示唆された急性外眼筋麻痺

生田 尚美1)*, 多田 由紀子1), 古賀 道明2)

Corresponding author: 宇部興産中央病院神経内科〔〒755―0151 山口県宇部市西岐波750〕
1)宇部興産中央病院神経内科
2)山口大学大学院医学系研究科神経内科学

症例は61歳の男性である.下痢をきたした約10日後に複視で発症し,全外眼筋麻痺に進展した.経過中,両側方注視時の外転眼に粗大な眼振がみられ,眼球運動制限は外転が比較的保たれていた.IgG抗GQ1b抗体が陽性であった.急性外眼筋麻痺は末梢性の障害が推定されているが,本例では中枢病変の合併が示唆された.
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(臨床神経, 52:433−435, 2012)
key words:急性外眼筋麻痺,注視方向性眼振,抗GQ1b抗体,中枢神経病変

(受付日:2011年11月20日)