臨床神経学

委員会報告

成人移行支援の課題と神経系疾患における小児−成人移行医療の実際

尾方 克久1)*, 望月 葉子2), 熊田 聡子3), 冨田 直4), ア山 快夫5), 菊池 健二郎6), 早川 美佳7), 大迫 美穂2), 齊藤 利雄8), 望月 秀樹9), 日本神経学会小児−成人移行医療対策特別委員会, 日本難病医療ネットワーク学会小児−成人移行医療特別委員会

1)国立病院機構東埼玉病院神経内科/臨床研究部
2)東京都立北療育医療センター内科・脳神経内科
3)東京都立神経病院神経小児科
4)東京都立小児総合医療センター在宅診療科
5)自治医科大学附属さいたま医療センター脳神経内科
6)埼玉県立小児医療センター神経科
7)東京都立北療育医療センター小児科
8)国立病院機構大阪刀根山医療センター小児神経内科
9)大阪大学大学院医学系研究科神経内科学

日本神経学会小児−成人移行医療対策特別委員会ワークショップは,移行医療の課題と実際を伝える企画とした.@医療的ケアを必要とする患者への支援推進の経緯と課題,A小児医療センターと大学病院の連携,B医療療育施設内での小児科と脳神経内科の連携,C日本神経学会におけるアンケート調査について紹介された.神経系疾患,なかでも濃厚な医療的ケアを長期にわたり継続的に必要とする「医療的ケア児者」の移行が非常に困難である原因として,小児期と成人期の診療対象疾患の違いに加え,小児科と成人診療科の診療体制の違いが挙げられた.全人的な移行支援のためには,医療者のみならず地域や行政を含む多職種との連携強化が必要である.
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(臨床神経, 64:460−464, 2024)
key words:小児−成人移行医療,成人移行支援,日本神経学会,日本小児神経学会,日本難病医療ネットワーク学会

(受付日:2024年2月20日)