臨床神経学

症例報告

内側側頭葉・大脳皮質・皮質下に信号変化を呈した神経梅毒の若年男性の1例

西 佑治1)*, 林 俊行1), 沓名 章仁1), 青木 淳哉1), 西山 康裕1), 木村 和美1)

Corresponding author: 日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野〔〒113-8602 東京都文京区千駄木1-1-5〕
1) 日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野

症例は37歳男性.意識障害で救急搬送となり,搬送時にけいれん重積状態であった.頭部MRIではFLAIR像とT2強調像にて両側内側側頭葉,大脳皮質,皮質下に異常高信号を呈し,びまん性の腫脹を伴っていた.ウイルス性脳炎や自己免疫性脳炎を疑ったが,血清と髄液の梅毒反応がともに陽性であり,神経梅毒と診断した.ペニシリンGとステロイドパルス療法で治療し症状の改善を認めた.辺縁系脳炎様の画像所見を呈する神経梅毒はけいれん発作を主訴とすることが多いとされている.病歴を聴取することが困難な場合があり,辺縁系脳炎では神経梅毒を鑑別の一つにあげることが重要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1586K)

(臨床神経, 63:221−224, 2023)
key words:神経梅毒,辺縁系脳炎,けいれん重積状態

(受付日:2022年10月19日)