臨床神経学

症例報告

COVID-19の感染性期間に発症したGuillain-Barré 症候群の1例

西田 勝也1)*, 坂下 建人1), 内堀 歩2), 千葉 厚郎2), 二村 直伸1)

Corresponding author: 国立病院機構兵庫中央病院脳神経内科〔〒669-1592 兵庫県三田市大原1314〕
1) 国立病院機構兵庫中央病院脳神経内科
2) 杏林大学医学部脳神経内科

症例は75歳男性.上気道炎発症の1週間後から両下肢の筋力低下,四肢の感覚障害が出現し歩行困難となった.感染徴候はなかったが,前医入院時偶発的にSARS-CoV-2 PCR検査陽性が確認された.筋力低下の進行のため当院隔離病棟に転院した.神経学的には,嚥下・構音障害,四肢腱反射消失,遠位優位の四肢筋力低下,感覚障害,膀胱直腸障害を認めた.末梢神経伝導検査で遠位潜時延長,伝導速度低下,F波導出不良を認め,COVID-19関連Guillain-Barré症候群(GBS)と診断した.GBSがSARS-CoV-2の感染性期間に発症する可能性もあり,十分な感染対策のもとで診療を行うことが重要である.
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(臨床神経, 62:293−297, 2022)
key words:ギラン・バレー症候群,SARS-CoV-2,COVID-19,感染性期間

(受付日:2021年10月8日)