臨床神経学

症例報告

下部尿路機能障害を呈した延髄外側出血の1例

江藤 太1), 高木 正仁1)*, 田中 寛大2), 森田 佳明3), 谷本 慧太1), 豊田 一則1), 古賀 政利1)

Corresponding author: 国立循環器病研究センター脳血管内科〔〒564-8565 大阪府吹田市岸部新町6-1〕
1) 国立循環器病研究センター脳血管内科
2) 国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科
3) 国立循環器病研究センター放射線部

67歳女性.左側頭部の異常感覚とふらつきを主訴に来院し,延髄左背外側に血腫を認めた.元来頻尿だったが入院後尿の出にくさを自覚し,100mlの残尿を認めた.膀胱内圧測定で容量減少と内圧低下があり,排尿筋低活動による下部尿路症状と診断した.尿道内圧を低下させ膀胱内圧との不均衡を解消するためα1受容体遮断薬を開始し,残尿量は減少した.発症14日後に内服を終了したが再発はなかった.MRIのMP2RAGEで血腫周囲に浮腫性変化を認めたが経時的に消退した.本例の下部尿路機能障害は橋排尿中枢からの下行路の障害が原因と想定され,浮腫の消退や対側下行路による代償が症状の早期改善に寄与したと考えられる.
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(臨床神経, 61:392−397, 2021)
key words:延髄,脳出血,下部尿路機能障害,膀胱内圧測定

(受付日:2021年1月4日)