臨床神経学

依頼総説

めまい

城倉 健1)*

Corresponding author: 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター〔〒235-0012 横浜市磯子区滝頭1-2-1〕
1) 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター

めまいの病態は,眼球偏倚(および結果として生じる眼振)に反映されることが多い.末梢性めまいである良性発発作性頭位めまい症は,耳石が迷入した半規管刺激による眼球偏倚がそのまま出現する.良性発作性頭位めまい症以外の末梢性めまいでは,一側の半規管障害をすべて総和した眼球偏倚となる.一方,中枢性めまいでは,中枢前庭経路(半規管経路+耳石器経路)が小脳により抑制制御を受けているため,前庭経路の直接障害による眼球偏倚に加え,小脳からの脱抑制による眼球偏倚も出現する.小脳による中枢前庭経路の抑制制御は,めまいの回復に重要な役割を担う前庭代償にも深く関わっている.めまいを治療する際には,こうしためまいの病態を理解し,病態に応じて特異的に介入する必要がある.
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(臨床神経, 61:279−287, 2021)
key words:末梢性めまい,中枢性めまい,神経症候,眼振,慢性化

(受付日:2020年12月9日)