臨床神経学

短報

妊娠及びフィンゴリモド中断を契機に再発を繰り返し,原発性胆汁性胆管炎を合併した多発性硬化症の1例

莇 舜平1), 此枝 史恵1), 佐藤 秀樹1)*

Corresponding author: さいたま市立病院脳神経内科〔〒336-8522 埼玉県さいたま市緑区大字三室2460番地〕
1) さいたま市立病院脳神経内科

症例は37歳女性.25歳時発症の再発寛解型多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略記)で,29歳時にフィンゴリモドの内服を開始した後は再発なく経過していた.35歳時に妊娠が発覚し内服を中断したところ,妊娠中から再発を繰り返した.また,出産後に肝胆道系酵素上昇・好酸球増多を認め,抗ミトコンドリアM2抗体陽性から原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis,以下PBCと略記)と診断された.妊娠やフィンゴリモド中断を契機に病勢が悪化し,PBCを発症した点からはMSの病態に変化が生じたと推測された.インターフェロンβなどの疾患修飾薬やステロイドパルス療法を契機に自己免疫性肝炎・PBCを合併したとの報告は散見される.MS治療に際して留意すべき合併症と考えられた.
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(臨床神経, 61:43−46, 2021)
key words:多発性硬化症,原発性胆汁性胆管炎,妊娠,フィンゴリモド

(受付日:2020年1月13日)