臨床神経学

症例報告

遷延する意識障害と痙攣性てんかん重積状態を呈した神経核内封入体病の1例

山中 治郎1)*, 橋本 修治2), 末長 敏彦1)

Corresponding author: 天理よろづ相談所病院神経内科〔〒632-8552 奈良県天理市三島町200番地〕
1)天理よろづ相談所病院神経内科
2)天理よろづ相談所病院白川分院内科

発熱を伴う意識障害中にてんかん重積状態を来した76歳男性.向反発作に続く全身痙攣を呈していた.発作時脳波は左中心頭頂部から始まる速波律動であった.発作間欠時には両側前頭部にてんかん性異常波を認めた.拡散強調画像で両側前頭葉と左頭頂葉の皮髄境界部に高信号域があり皮膚生検で好酸性核内封入体を認めた.本例では意識障害が先行しその後に全身痙攣が出現したこと,及び,拡散強調画像での高信号域近傍にてんかん性異常波を認め,同部近傍皮質の興奮性が高いと考えられたことが特徴的であった.本疾患でみられる脳炎様病態の一部には,てんかんやその他の病態が関与している可能性があると考え,若干の考察を加えた.
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(臨床神経, 59:425−430, 2019)
key words:神経核内封入体病,痙攣性てんかん重積状態,てんかん発作,遷延性意識障害,皮膚生検

(受付日:2018年12月25日)