臨床神経学

症例報告

Cushing病とKlinefelter症候群の合併により亜急性に進行する両下肢近位筋筋力低下を呈した1例

清水 芳樹1), 北村 彰浩1)*, 塚本 剛士1), 金 一暁1), 川合 寛道1), 漆谷 真1)

Corresponding author: 滋賀医科大学神経内科〔〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町〕
1)滋賀医科大学神経内科

69歳男性.約1か月の経過で下肢近位筋筋力低下が亜急性に出現した.中心性肥満,水牛様肩を認め,針筋電図,筋MRI,CPK値は異常なく,高血圧や糖尿病はなかった.ACTHと尿中コルチゾール上昇,デキサメサゾン抑制試験,CRH試験,海綿静脈洞サンプリング陽性から,MRIで認めた微小下垂体腫瘤によるCushing病と診断した.一方,女性化乳房,テストステロン低値,LH・FSH上昇,陰嚢・陰茎の萎縮あり,染色体検査でモザイク型Klinefelter症候群の合併が確認された.同疾患によるテストステロン低下が軽症Cushing病による糖質コルチコイド上昇で増悪し,筋力低下が亜急性に出現したと考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (840K)

(臨床神経, 59:253−257, 2019)
key words:Cushing病,Klinefelter症候群,ステロイドミオパチー,テストステロン,近位筋筋力低下

(受付日:2018年8月15日)