臨床神経学

症例報告

高体温,過眠症を呈しMRIで両側視床下部病変をみとめモダフィニルが奏功した39歳女性例

斎藤 奈穂子1)*, 井上 雅人2), 蓮尾 金博3), 神林 崇4), 村山 繁雄5), 竹内 壯介1)

Corresponding author: 国立国際医療研究センター神経内科〔〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1〕
1)国立国際医療研究センター神経内科
2)国立国際医療研究センター脳神経外科
3)国立国際医療研究センター放射線科
4)秋田大学精神医学講座
5)東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンク

症例は39歳の女性である.2011年7月,41°Cの高体温,痙攣重積をみとめ緊急入院となった.MRIで両側視床から視床下部にT2強調およびFLAIR画像で高信号域をみとめた.脳生検病理所見より,neuromyelitis optica(NMO)に関連した病態がうたがわれた.入院後も過眠をみとめ,ステロイド治療で病変は縮小傾向を示したが覚醒障害に改善をみとめなかった.髄液オレキシン値<40pg/mlと低下し,モダフィニルの内服を開始したところ,良好な覚醒がえられた.NMOにおいて視床下部障害の報告が蓄積されており,治療について重要な示唆を与える症例と考えられた.
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(臨床神経, 54:550−555, 2014)
key words:視床下部病変,視神経脊髄炎関連疾患,高体温,過眠症,モダフィニル

(受付日:2012年12月28日)