臨床神経学

短報

脳深部刺激術後に生じた反復性発話異常に対してペーシングボードが有用であったパーキンソン病の1例

鈴木 淳一郎1), 田中 康博1), 渡辺 宏久1)*, 伊藤 瑞規1), 梶田 泰一2), 祖父江 元1)

Corresponding author: 名古屋大学医学部神経内科〔〒466-8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65番地〕
1)名古屋大学医学部神経内科
2)名古屋大学医学部脳神経外科

症例は61歳男性である.49歳時に動作緩慢が出現し,パーキンソン病と診断された.発症7年後に脳深部刺激術を施行後,反復性発話異常が出現,増悪し,会話が困難になり,発症12年後に当科を受診した.声量低下,粗ル|性嗄声をみとめ,音のくりかえしが顕著だった.薬物調整,刺激部位や強度の調整,Lee Silverman Voice Treatment®をおこなったが,反復性発話異常は改善しなかった.そこでペーシングボードを導入したところ,改善がえられ,意思疎通が良好になった.ペーシングボードは,パーキンソン病でみとめる反復性発話異常に有用であると思われた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1293K)

(臨床神経, 53:304−307, 2013)
key words:ペーシングボード,パーキンソン病,反復性発話異常,脳深部刺激術

(受付日:2012年2月29日)