臨床神経学

症例報告

急性期初回髄液検査で細胞数が正常であった,HIV関連無菌性髄膜炎

石井 亮太郎, 滋賀 健介, 諌山 玲名, 細見 明子, 徳田 隆彦, 中川 正法

Corresponding author:京都府立医大神経内科〔〒602-0841 京都市上京区河原町広小路上ル梶井町465〕
京都府立医科大学附属病院神経内科

症例は32歳の男性である.後頭部痛と発熱が持続するため第13病日に来院した.髄液細胞数は4/μlと正常であったが項部硬直をみとめたため,髄膜炎と考えられて入院した.血清HIV抗体陽性・髄液HIV RNA量が7.6×105コピー/mlと高値であり,HIVによる髄膜炎と診断した.IgG indexは0.71であった.ウェスタンブロットではp24・p40が陽性であったがgp120・gp41は陰性であり,seroconversion期と考えられた.また,CD4陽性細胞は280/μlと低下していた.HIV感染初期には細胞性免疫が一過性に軽度低下しているため,髄膜炎があっても髄液細胞数が正常のことがあると考え報告する.
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(臨床神経, 49:100−103, 2009)
key words:ヒト免疫不全ウィルス, 無菌性髄膜炎, 髄液細胞増多, 血清陽転化

(受付日:2008年3月13日)