臨床神経学

症例報告

Voxel-based morphometry,FineSRTが診断に有用であったIVIg有効抗グリアジン抗体陽性小脳失調症の1例

南里 和紀1)*, 大塚 敬男1), 竹口 将文1), 田口 丈士1), 石河 朝子1), 三苫 博2), 小泉 潔3)

Corresponding author:東京医科大学八王子医療センター神経内科〔〒193-0998 八王子市館町1163〕
1)東京医科大学八王子医療センター神経内科
2)東京医科大学卒後臨床研修センター
3)東京医科大学八王子医療センター放射線科

51歳の男性例を報告した.5年前から歩行失調,構音障害が緩徐に増悪し独歩困難となった.頭部MRI,SPECT-eZISにおいて小脳萎縮,血流低下所見は明らかではなかった.しかし,voxel-based morphometry,fineSRTでは,小脳皮質萎縮,血流低下所見をみとめ,抗グリアジン抗体,抗SS-A/Ro抗体が陽性であり,自己免疫性小脳失調症と診断した.大量免疫グロブリン療法が著効し,独歩可能となった.進行性小脳失調症の患者では,voxel-based morphometry,fineSRTなどの画像検査で早期に小脳萎縮を診断し,抗グリアジン抗体,抗GAD抗体,抗甲状腺抗体などが陽性であれば,自己免疫性小脳失調症である可能性があり,IVIgをふくめた免疫治療を考慮すべきである.
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(臨床神経, 49:37−42, 2009)
key words:小脳萎縮症, IVIg, 抗グリアジン抗体, Voxel-based morphometry, FineSRT

(受付日:2008年7月31日)