臨床神経学

短報

右半球病変により純粋失書と道順障害を呈した1例

尾関 俊彦1)3), 東 文香1), 牧浦 葉子1), 野倉 一也1), 山本 \子1), 神谷 雅人2)

1)藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院神経内科〔〒454-8509 名古屋市中川区尾頭橋3丁目6番10号〕
2)にししろクリニック〔〒463-0084 名古屋市守山区西城2丁目13-13〕
3)現 尾関医院〔〒500-8474 岐阜市加納本町1丁目8番地の1〕

右頭頂葉出血の後,純粋失書と道順障害を呈した69歳男性の右きき例を報告した.自発話,聴理解,読解は保たれ,字の想起は良好であるが,字画のゆがみ,脱落,付加をともなう書字障害がみとめられた.旧知の場所で道に迷う,道順を説明できないなどの道順障害をともない,脳出血を契機に純粋失書と道順障害が生じたと推察した.本例は交叉性に生じた純粋失書で,書字行為実現過程における右頭頂葉の関与が示唆された.
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(臨床神経, 48:505−508, 2008)
key words:純粋失書, 道順障害, 右半球病変

(受付日:2007年4月25日)