臨床神経学

症例報告

IDH1 p.R132C変異を有し進行性に悪性転化したOllier病合併多発神経膠腫の1例

渡邊 元1), 藤井 雄1)*, 花岡 吉亀1), 田中 美幸2), 岩谷 舞3), 堀内 哲吉1)

1)信州大学医学部脳神経外科
2)信州大学医学部小児科
3)信州大学医学部附属病院臨床検査部

21歳男性.1歳時にOllier病と診断,15歳時に偶発的に多発神経膠腫を認めた.その後増大したため,3回摘出術を施行した.遺伝子解析ではIDH1 p.R132C変異を認め,病理組織診断では悪性転化を認めた.集学的治療でも腫瘍は制御されず,23歳時に死亡した.Ollier病はIDH1/2変異を有す稀な疾患であり,神経膠腫をしばしば合併する.しかし,IDH1/2変異に対する遺伝子解析や長期フォローアップを実施した報告は非常に限られている.Ollier病合併神経膠腫ではIDH1/2変異の遺伝子解析は病態解明の一助となる可能性があり,複数科での長期フォローアップが重要と考えられる.
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(臨床神経, 64:474−479, 2024)
key words:Ollier病,IDH変異,神経膠腫,悪性転化,DNAシークエンス

(受付日:2023年12月6日)