症例報告
末梢神経障害を合併した重症自己免疫性glial fibrillary acidic protein(GFAP)アストロサイトパチーの1例
大橋 信彦*, 上島 翔太, 渡部 理恵, 田澤 浩一
長野赤十字病院神経内科
症例は44歳男性.頭痛,発熱で髄膜脳炎を発症し,意識障害,呼吸不全のため人工呼吸器管理となった.免疫グロブリン大量静注療法とステロイドパルス療法で意識は改善したが,四肢麻痺と頸部以下の表在感覚低下が顕在化した.四肢腱反射は低下し,神経伝導検査で運動性軸索型多発神経障害を呈し,脊髄炎と末梢神経障害の合併と考えられた.髄液抗GFAPα抗体陽性が判明し,自己免疫性glial fibrillary acidic proteinアストロサイトパチー(GFAP-A)と診断した.2回目のステロイドパルス療法に反応したが,高度対麻痺が残った.重症GFAP-Aでは末梢神経障害を合併している可能性を考える必要があり,早期発見と治療介入が予後改善につながるかもしれない.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1100K)
(臨床神経, 64:403−407, 2024)
key words:自己免疫性GFAPアストロサイトパチー,末梢神経障害,多発神経障害
(受付日:2023年10月26日)