病態から治療へ-次の50年の進歩をめざして-

大会長挨拶

第52回日本神経学会学術大会

「病態から治療へ ―次の50年の進歩をめざして―」

会長:祖父江元

第52回日本神経学会学術大会 を平成23年5月18日(水)〜20日(金)の3日間にわたり、名古屋国際会議場にて開催できますこと、関係者一同大変光栄に思っております。

本学術大会は、第50回、第51回の日本神経学会創設50周年の総会の流れを引き継ぎ、「病態から治療へ ―次の50年の進歩をめざして―」をメインテーマといたしました。多くの神経疾患は病態解明とともに、それに基づく治療の展望が少しずつ見えて来ていると感じております。次の50年の発展をどう思い描くのか、会員の皆様と考えてみたいと思います。また、学術大会としては、「現場の先生が出席しやすい・したくなる学会」、「学術・研究レベルはさらなる高みへ到達する学会」に出来ればと考えております。年次学術大会運営委員会、年次学術大会学術委員会をはじめ、皆様からご意見をいただきつつ、オリジナリティ溢れる企画の準備を進めている所です。

近年、人口の高齢化とともに脳卒中、認知症、神経変性疾患などの患者数は急増しています。こうした社会的にもきわめて重要な疾患の病因・病態を明らかにするとともに、優れた予防、治療、介護戦略を構築することは、我々神経内科医に課せられた大きな責務であります。このような背景を踏まえ、本学術大会では、各々の領域で世界をリードしている研究者、臨床応用の可能性が高まっている領域の研究者に集まっていただき、広く議論をする場を提供したいと考えています。また、国際性の推進を図るため、欧米やアジアとのジョイントシンポジウムや若手研究者の海外からの招聘などを予定しています。さらに、神経内科教育と日常臨床の充実を図るため、教育コースを充実させたいと考えています。重要な課題や普段まとめて学ぶ機会の少ない臨床および基礎分野の重要知識や最新情報を分りやすく解説するセッションを設け、会員の皆様はもちろん、神経内科を目指す学生や初期研修医、そして神経内科に関わる様々な領域の方々が最新の知識や情報を持ち帰っていただくことが出来るように努めたいと思います。

一方で、「神経内科専門医」は何ができ、「神経内科」はどのような病気を扱う科であるのか、未だ十分に理解されているとは云えない面もあります。本学術大会は、社会に対して最新かつ重要な研究成果を発信すると同時に、神経内科医の役割を広く啓発出来るきっかけになれば良いと考えています。市民公開講座に加えて、名古屋神経内科ウィークと題し、「神経内科」の行っている活動を広く一般市民の方々に知っていただく企画を検討しています。

また皆様には名古屋の地を是非堪能していただきたいと考えております。名古屋は歴史とものづくりの街であり、独自の食文化の街でもあります。少し足を伸ばせば三河湾、飛騨高山、木曽路など風光明媚な場所があり、学術とともに地域の文化にも触れていただけたらと思います。皆様のご参加をお待ちしております。

第52回日本神経学会学術大会 大会長