臨床神経学

症例報告

肺腺癌に対してDurvalumabを使用後に四肢・頸部の筋強直で発症したStiff-person症候群の1例

井上 貴司, 大岩 慧, 堀内 一宏

市立函館病院脳神経内科

症例は74歳女性.肺腺癌に対してDurvalumabを使用中に,四肢・体幹部の筋強直が出現した.発作性有痛性筋痙攣と,表面筋電図での主働筋と拮抗筋の持続的な筋収縮を認めた.血液検査ではamphiphysin抗体が強陽性であり,stiff-person症候群(stiff-person syndrome,以下SPSと略記)と診断した.免疫グロブリン大量静注療法やクロナゼパムを開始し,発作性有痛性筋痙攣は消失した.原発巣が制御されている,かつ免疫チェックポイント阻害薬再開後という経過から,免疫関連有害事象としてSPSが顕在化したと考えた.極めて稀ではあるが免疫チェックポイント阻害薬に関連して生じうる事を留意する必要がある.
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(臨床神経, 64:176−180, 2024)
key words:stiff-person症候群,免疫関連有害事象,amphiphysin抗体,肺癌,免疫グロブリン静注療法

(受付日:2023年9月5日)