臨床神経学

症例報告

抗凝固療法中に発症したCapsular warning syndromeに対してシロスタゾール追加が有効であった1例

川竹 彩音, 河野 浩之, 本田 有子, 海野 佳子, 平野 照之

杏林大学医学部脳卒中医学

心房細動を有する88歳女性が右片麻痺と失語を主訴に緊急搬送された.MRAで左中大脳動脈M2閉塞を認めた.rt-PA静注療法により閉塞血管は再開通し,右片麻痺と失語は改善した.心房細動の既往があり,心原性脳塞栓症と診断し,抗凝固療法による再発予防を行った.しかし,day 6から右上下肢の運動麻痺の悪化と軽快を繰り返した.Capsular warning syndrome(CWS)と診断し,抗凝固薬にシロスタゾールを追加したのちに症状増悪がなくなった.心房細動による心原性脳塞栓症急性期にもCWSを来すことがあり,シロスタゾールの追加が有効であった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1002K)

(臨床神経, 64:181−184, 2024)
key words:capsular warning syndrome,シロスタゾール,抗血小板療法,心原性脳塞栓症

(受付日:2023年9月23日)