臨床神経学

依頼総説

遺伝性脊髄小脳変性症の臨床における最近の進歩

矢部 一郎

北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野神経内科学

脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration,以下SCDと略記)は,小脳性運動失調を主症状とし,パーキンソン症状,錐体路症状などの小脳系以外の多系統障害も呈することがある神経変性疾患である.現時点で根治療法は見いだされていない.SCDのうちの約3分の1は遺伝性SCD(hSCD)で,残り3分の2は多系統萎縮症を含む孤発性疾患である.本稿ではhSCDについて,臨床像,新規治療法開発,バイオマーカー開発,ゲノム医療のそれぞれについて,現状と疾患克服に向けた展望について概説する.
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(臨床神経, 64:135−147, 2024)
key words:遺伝性脊髄小脳変性症,バイオマーカー,発症前診断,ゲノム医療

(受付日:2023年11月21日)