臨床神経学

症例報告

脳生検後に白質病変を呈し,未治療で病変が改善した脳アミロイドアンギオパチーの2例

浅野 剛平1)2),細山 幸子2)*,竹内 有子2)3)

1)日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院脳神経内科
2)名古屋掖済会病院脳神経内科
3)増子記念病院脳神経内科

症例1は75歳女性.左手の間欠的な感覚障害が出現,頭部MRIのFLAIR画像で右側頭葉から頭頂葉の軟膜に沿った広範な高信号域と腫脹を認め,微小出血はほとんど認めなかった.症例2は78歳男性.運動性失語で発症し,頭部MRIでは右大脳半球皮質の腫脹とヘモジデリン沈着の所見を認めた.脳生検にて症例1は脳アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy,以下CAAと略記)関連炎症,症例2はCAAと診断した.2例とも脳生検後に生検部位周辺の広範な白質病変を認めたが,免疫治療を施行せず改善した.脳生検が白質病変に影響を及ぼす可能性があるが,自然に改善する場合もあり,白質病変が出現した際に免疫治療が必要かどうか症例ごとの検討が必要である.
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(臨床神経, 64:23−27, 2024)
key words:脳アミロイドアンギオパチー,脳アミロイドアンギオパチー関連白質脳症,脳アミロイドアンギオパチー関連炎症,脳生検

(受付日:2023年5月12日)