臨床神経学

短報

産褥期に生じたHELLP症候群にともなうreversible posterior leukoencephalopathy syndromeを呈した31歳女性例

河野 優1)2), 中森 知毅1), 今福 一郎1), 國本 雅也1)3), 武井 美城4)5), 草場 徳雄4)6)

1)横浜労災病院神経内科〔〒222-0036 神奈川県横浜市港北区小机町3211〕
2)現,東京慈恵会医科大学付属病院神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕
3)現,国立国際医療センター神経内科
4)横浜労災病院産婦人科
5)現,神奈川県立こども医療センター産科
6)現,神奈川クリニック産婦人科

症例は31歳女性である.産褥期に全身性強直間代性痙攣をみとめた.発症時の血清学的検査から溶血,肝機能異常,血小板減少をみとめ,HELLP症候群と診断した.画像所見では後頭頭頂葉白質,脳幹に異常所見をみとめ,治療にともない臨床症状,画像所見ともに改善したため,reversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)を合併したと診断した.HELLP症候群にRPLSが合併した報告例は少なく,かつ,頭部MRI拡散強調,係数画像での検討は本例がはじめてである.合併例における発生機序を考察する上で貴重な症例と思われた.

(臨床神経, 45:317−320, 2005)
key words:HELLP症候群, reversible posterior leukoencephalopathy syndrome, 拡散強調画像, 拡散係数画像, 血管原性浮腫

(受付日:2004年3月1日)