てんかんをもつ方の運転について
日本神経学会会員各位
てんかんをもつ方の運転について、至急ご連絡いたしますので、ご周知の程お願いいたします。
平成23年4月18日、栃木県鹿沼市において、クレーン車によるたいへん痛ましい交通事故が発生しました。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔み申し上げます。
報道によりますと、今回の事故はクレーン車の運転手がてんかん発作を起こし、意識を失ったことが原因ではないかとされています。
このような痛ましい交通事故が発生しましたので、てんかんをもつ方の運転免許の取得、更新に関しては、より適切な運用が求められております。
てんかんをもつ方の運転につきましては、「道路交通法改正にともなう運転適性の判定について」として、日本てんかん学会の見解が日本てんかん学会機関誌「てんかん研究」20巻135ページ(2002)および日本てんかん学会HPに公表されておりますので、ご参考にしていただきたいと思います。
警察庁からも、一定の病気にかかっている方の運転免許の取得、更新などについての適正な運用が求められております。
日本神経学会等作成の「てんかん治療ガイドライン2010」のCQ18-2:「自動車運転免許についてアドバイスする点はなにか」で、運転免許の許可条件を明記しておりますのでご利用ください。
運転免許に関する資料(日本てんかん学会の声明、警視庁から日本てんかん学会への協力依頼、「てんかん研究」20巻135ページ)を添付いたしております。ご参考にしていただき、てんかんをもつ方へのご指導および啓発活動をよろしくお願い申し上げます。
日本神経学会 代表理事 水澤英洋
日本てんかん学会の見解
「一定の病気に係る免許の可否等の適応基準(てんかん関係抜粋)」2てんかん(令第33条の2の3題項第1号関係)
(5)なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当するものがこれらの免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(2)および(3)の処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、当面、免許申請 ・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取り消しの申請活用を慫慂することとする。
てんかん治療ガイドライン2010
CQ18-2:「自動車運転免許についてアドバイスする点はなにか」
てんかん患者では次の場合に該当すると運転免許が許可される。免許の可否は、主治医の診断書もしくは臨時適性検査にもとづいて行われる。
- 過去に5年以上発作がなく、今後発作のおこるおそれがない。
- 発作が過去2年以内に起こったことがなく、今後X年であれば発作が起こるおそれがない(Xは主治医が記載する)。
- 1年の経過観察後,発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後症状の悪化のおそれがない。ただし、運転に支障をきたす発作が過去2年以内に起こったことがないのが前提である。
- 2年の経過観察後、発作が睡眠中に限っておこり、今後症状の悪化のおそれはない。