筋肉だけが冒される病気?
骨格筋は手足の運動以外に、呼吸や発声、嚥下動作にも関わっています。このため、筋力低下・運動機能障害に加え、呼吸不全や構音や嚥下障害(ことばや飲み込みの障害)も多く見られます。また、胃や腸を動かす平滑筋、心臓の筋肉も障害され、便秘や心不全・不整脈を生じることも少なくありません。疾患によっては中枢神経症状(知的障害、発達障害、痙攣など)、代謝障害など筋肉以外の問題が見られることがあります(図1)。
図1.筋ジストロフィーの医療的課題
治療法は無いの?
現時点では根本的な治療薬はありませんが、デュシェンヌ型におけるステロイドなど、一定の効果を認める治療法は開発されています。また、適切なリハビリテーション、呼吸ケアや心筋保護治療の普及で生命予後が改善し、電動車椅子を含む適切な装具・自助具の処方・社会サービスの導入など集学的な対応で生活範囲も拡大しています。
専門医療機関は?相談できる機関は無いの?
全国26の国立病院機構病院と国立精神・神経医療研究センターに専門病棟があるほか、筋ジストロフィー臨床研究ネットワーク(MDCTN)(mdctn.ncnp.go.jp)には40施設が参加しています。これらの施設は、筋ジストロフィーに対する経験が豊富なため、リハビリテーションや全身管理、遺伝相談や心理・教育支援も含めた総合的な対応が行いやすい利点があります。
地域においては、難病相談員や保健師、障害福祉担当者などにも相談できるほか、日本筋ジストロフィー協会(www.jmda.or.jp)をはじめとする患者会もあります。インターネットを通じた情報源としては、難病情報センター(www.nanbyou.or.jp)、研究班のホームページ(厚労科研班:mdcst.jp、開発費班:carecuremd.jp、筋強直性ジストロフィー班:dmctg.jp)、患者登録(remudy.jp)などがあり、相互にリンクしています。
新しい薬の開発も進んでいる
筋ジストロフィーでは新しい薬の開発が盛んになされており、保険承認を目的とした国際共同治験も行われています。希少疾病においては、適切な患者さんを集めて治験を行うことが困難なため、円滑な治験遂行を目的に患者登録も行われています。患者登録や臨床研究・治験にご協力をお願いします。