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神経内科の主な病気

症状

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かすための脳や脊髄(せきずい)の神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
 多くの場合は、手指の使いにくさや肘から先の力が弱くなり、筋肉がやせることで始まります。話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状で始まることもあります。いずれの場合でも、やがては呼吸の筋肉(呼吸筋)を含めて全身の筋肉がやせて力がはいらなくなり、歩けなくなります。のどの筋肉の力が入らなくなると声が出しにくくなり(構音障害)、水や食べ物ののみこみもできなくなります(嚥下(えんげ)障害)。また、よだれや痰(たん)が増えることがあります。呼吸筋が弱まると呼吸も十分にできなくなります。ALSの診断は、特に症状が軽い初期の頃は難しく、頸椎症(けいつしょう)などとの区別のためには専門的な検査が必要になるので、脳神経内科医を受診することをお勧めします。

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疫学

 患者さんの数としては決して多い疾患ではありませんので、指定難病に指定されています。全国では約1万人の患者さんがいます。男女比は男性が女性に比べて1.2-1.3倍であり、やや男性に多く認めます。この病気は中年以降いずれの年齢の人でもかかることがありますが、最もかかりやすい年齢層は60~70歳台です。まれにもっと若い世代での発症もあります。特定の職業の人に多いということはありません。

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原因

 ALSの原因は不明ですが、神経の老化と関連があるといわれています。さらには興奮性アミノ酸の代謝に異常があるとの学説やフリーラジカルの関与があるとの様々な学説がありますが、結論は出ていません。ALSは多くの場合は遺伝しません。両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などに同じ病気のひとがいなければまず遺伝の心配をする必要はありません。その一方で、全体のなかのおよそ5%は家族内で発症することが分かっており、家族性ALSと呼ばれています。この場合は両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などに同じ病気のひとがいることがほとんどです。家族性ALSではスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)という酵素やFUS遺伝子に異常が見つかっています。

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治療

 残念ながらALSを治す薬はありません。進行を少し遅らせることができる内服薬としてリルテック(リルゾール)とラジカット(エダラボン)という点滴が認可されています。これらの治療薬も神経内科の専門医と相談して使用する必要があります。また、大学病院の神経内科を中心として施設では治験(ちけん)と云って新しい薬の試験を行っており、患者さんの希望と条件が合えば参加できます。
 この病気は常に進行性で、一度この病気にかかりますと症状が軽くなるということはありません。 体のどの部分の筋肉から始まってもやがては全身の筋肉が侵され、最後は呼吸筋も働かなくなって多くの方は呼吸不全で死亡します。人工呼吸器を使わない場合、病気になってから死亡までの期間はおおよそ2~5年ですが、中には人工呼吸器を使わないでも10数年の長期間にわたって非常にゆっくりした経過をたどる例もあります。その一方で、もっと早い経過で呼吸不全をきたす例もあります。特に高齢者で、話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状(嚥下障害)で始まるタイプは進行が早いことが多いとされています。大切な点は患者さんごとに経過が大きく異なることであり、個々の患者さんに合わせた対応が必要となります。最近では認知症を合併する患者さんが増えていると云われています。

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リハビリテーション

 ALSにともなって起こる筋肉や関節の痛みに対しては毎日のリハビリテーションがとても大切です。リハビリを行う方法については、主治医の先生や地域の保健師さん、介護保険のケアマネージャーさんあるいは各都道府県にある難病医療連絡協議会の専門員あるいは難病医療拠点病院と相談してください。ロボットスーツ(HAL)を使ったリハビリも保険診療として認められています。また、話しにくい、手の力が入らないなどの症状が進行すると家族や他のヒトとのコミュニケーションが大変になります。早めに新たなコミュニケーション手段の習得を行うことが大切です。

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