平成20年度診療報酬改定における「神経学的検査」(D239-3)新設について
このたび日本神経学会の長年にわたる悲願でありました、神経診察に対する技術を診療報酬として認定し「神経学的検査」料として新設する、とする平成20年度診療報酬改定が正式に公示(資料1)されましたのでご通知申し上げます。
日本神経学会および神経関連学会は、以前より内科系学会社会保険連合(内保連)を通して神経診察技術の保険算定を要求してまいりました。しかし、本要求は平成18年度の診療報酬改訂でも取り上げられたものの最終的には採択されなかったことにつきましては第47回総会でご報告いたしました。
平成20年度の診療報酬改定にむけても本学会は厚生労働省に対し、「神経学的診察技術料」として提案書を提出しました。その後、さらに本提案は昨年の内保連例会において、内科系技術認定の突破口として、今回の診療報酬改訂に対する内保連としての要求の4本柱の一つとして取り上げられました。これには平成 17年度に行われた多くの学会員にご協力いただいた外来時間調査の結果が大きく寄与しました。当初「技術料」としての認定をと考えていましたが、現行の診療報酬体系に組み込むためには「検査料」の範疇とすることが現実的となり、最終的には「神経学的検査」として認定されました。「技術料」という名称では認定されなかったものの、このことは日本神経学会としては診療報酬上大きな前進であると考えられます。
尚、算定の要件として、本来は専門医に付与されるべき技術として要求してきましたが、現在わが国における専門医制度に関しては、日本専門医認定制機構や日本学術会議等で検討中であり、現在の診療報酬体系においては明示反映することが困難でありました。また、算定にあたっては特定の様式による「神経学的検査チャート」を用いることになっております。
算定要件の詳細、実際の運用にあたっては現在厚労省へ照会中です。詳細が判明し次第、ホームページにてお知らせする予定ですのでご参照ください。また今回の診療報酬改定では、本「神経学的検査」以外にも神経内科の診療領域において日本神経学会からの要望が複数採択されております。それらについても改めて、ホームページにてお知らせする予定です。
平成20年3月5日
日本神経学会理事長 葛原 茂樹
同 診療向上委員会委員長 鈴木 則宏
FAX:03-3815-1931
お電話でのお問い合わせはご遠慮ください。
【資料1】官報
告示 第4781号(号外第43号) (平成20年3月5日付)
平成二十年厚生労働省告示第五十九号 「診療報酬の算定方法を定める件」
別表第一 医科診療報酬点数表 p46
第2章 特掲診療科 第3部検査 第3節 生体検査料
D239-3 神経学的検査 300点
注 別に厚生労働省大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する
平成二十年厚生労働省告示第六十三号 「特掲診療科の施設基準等」 P295
第五 検査
十 神経学的検査の施設基準
- (1)当該保険医療機関内に当該検査を行うにつき必要な医師が配置されていること。
- (2)当該検査を行うにつき十分な体制が整備されていること。
【資料1-2】官報をうけて地方社会保険事務局長あてに出された厚生労働省告示
( http://www-bm.mhlw.go.jp/topics/2008/03/tp0305-1.html )
【平成20年3月5日保医発第0305001号】
厚生労働省保険局医療課長発 (tp0305-1d.pdf)
地方社会保険事務局長
都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長
都道府県老人医療主管部(局)高齢者医療主管課(部)長 宛
「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」
別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 第3部 検査
第3節 生体検査料 検査 p47
D239-3 神経学的検査
- (1)神経学的検査は、意識状態、言語、脳神経、運動系、感覚系、反射、協調運動、髄膜刺激症状、起立歩行等に関する総合的な検査及び診断を「別紙様式 19」の神経学的検査チャートを用いて行った場合に一連につき1回に限り算定する。
- (2)神経学的検査は、専ら神経系疾患の診療を担当する医師(専ら神経系疾患の診療を担当した経験を10年以上有するものに限る)が当該検査を行った上で、その結果を患者に説明した場合に限り算定する。
【保医発第0305003号】
平成20年3月5日付 厚生労働省保険局医療課長発 (tp0305-1k.pdf)
地方社会保険事務局長
都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長
都道府県老人医療主管部(局)高齢者医療主管課(部)長 宛
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取り扱いについて」
別添1 「特掲診療科の施設基準等」 P27
第26の2 神経学的検査
-
神経学的検査に関する施設基準
- (1)神経内科又は脳神経外科を標榜している保険医療機関であること。
- (2)神経学的検査に関する所定の研修を修了した神経内科又は脳神経外科を担当する常勤の医師(専ら神経系疾患の診療を担当した経験を10年以上有するものに限る。)が1名以上配置されていること。
-
届出に関する事項
神経学的検査の施設基準に係る届出は、別添2の様式28を用いること。
別添2 「特掲診療料の施設基準に関わる届出書」 P42 (tp0305-11.pdf)