大会長挨拶

神経学−新しい時代への挑戦−
第54回日本神経学会学術大会の開催に向けて

第54回日本神経学会学術大会
大会長 水澤 英洋
東京医科歯科大学大学院脳神経病態学分野

水澤 英洋

このたび第54回日本神経学会学術大会を来る2013年5月29日(水)〜6月1日(土) に東京(東京国際フォーラム)において開催することになりました。

神経学は、医学の中でも非常に広汎な領域をカバーする核心的分野です。しかしながら、これまで様々な理由から、一般の市民からはもちろん、医師の中でもやや特殊な、縁遠い存在と誤解されていたように思われます。しかしながら、今や難病中の難病と言われた神経変性疾患の発症機序の解明が着実に進み、有史以来初めての病態に基づく根本的治療の臨床試験が、我が国で進んでおります。脳の世紀と喧伝された21世紀に入って、すでに10余年が過ぎ、我々の依って立つところは、もはや本態性(essential)あるいは特発性(idiopathic)という言葉を20世紀までの遺産とすることさえ可能としつつあります。

脳と神経系は、その解剖学的広がりの広汎さ、その機能の広汎さ、ヒトをヒトたらしめる臓器であること、その症候の広汎さ、その疾患の広汎さという点において、他の臓器とはきわめて異なる特徴をもつといえます。現代社会では少子高齢化が進行し様々な脳の健康を脅かす環境要因が増加する一方、さらに豊かな生活への希望もこれまでになく大きくなっており、神経学と神経内科への期待は膨大なものがあります。認知症は、かつて多彩な精神症候をきたす原因不明の疾患として主に精神医学の対象でしたが、今や発症機序の解明と治療法の開発は飛躍的に進み、ほとんどの神経内科医が日々その診療に当たっています。神経学は、自らの使命を自覚し、この期待に応えるべく新しい時代へ向けて挑戦いたします。

日本神経学会学術大会もまた、学会そのものによる運営という新しい時代への第一歩を踏み出しました。学術プログラム、教育プログラムともにすばらしい工夫があります。第54回学術大会は、学術大会運営委員会、年次学術大会学術委員会、抄録査読委員を中心として、日本神経学会の全会員の力によって作り上げられております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

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