臨床神経学

症例報告

右後頭葉の急性期脳梗塞を契機に脳波上全般性周期性放電を示したてんかん重積状態の経時的Arterial spin labeling所見

野原 聡平1)*, 阿部 悟朗2), 伊藤 理2), 鈴木 聡2), 森岡 隆人3)

Corresponding author: 福岡輝栄会病院脳神経・脊髄疾患治療部脳神経内科〔〒813-0044 福岡県福岡市東区千早4丁目14-40〕
1) 福岡輝栄会病院脳神経・脊髄疾患治療部脳神経内科
2) 福岡輝栄会病院脳神経・脊髄疾患治療部脳神経外科
3) 蜂須賀病院脳神経外科

てんかん重積状態(status epilepticus,以下SEと略記)の病態診断には,脳波に加えて,dual postlabeling delay(PLD)法によるarterial spin labeling(ASL)画像が有用とされる.72歳男性が右後頭葉の急性期脳梗塞を契機に,脳波上振幅が右側により高い全般性周期性放電を呈するSEとなった.ASLではこの梗塞巣を中心に右半球の広い範囲で血流増加がみられた.SEの改善に伴って,この血流増加はその程度が減弱し,範囲も狭まっていったのにあわせて血流速度も低下した.広範囲での部分SEでは,血流増加に加えてその速度も上昇し,これが改善とともに低下することをdual PLD法ASLは示した.
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(臨床神経, 63:78−84, 2023)
key words:全般性周期性放電,てんかん重積状態,arterial spin labeling,postlabeling delay

(受付日:2022年4月27日)