臨床神経学

症例報告

Arterial spin labeling法による頭部MR灌流画像で血行動態を評価した頸部内頸動脈攣縮症の1例

森田 隆雄1), 有廣 昇司1)* , 鶴ア 雄一郎1), 坂井 翔建1), 芳賀 整2)

Corresponding author: 独立行政法人労働者健康安全機構九州労災病院脳血管内科〔〒800-0296 福岡県北九州市小倉南区曽根北町1-1〕
1) 労働者健康安全機構九州労災病院脳血管内科
2) 労働者健康安全機構九州労災病院脳神経外科

症例は57歳女性.脳梗塞後遺症である左片麻痺が増悪し入院した.頸動脈超音波で右内頸動脈(internal carotid artery,以下ICAと略記)は細径化し,頭部MRAでは右ICAは描出されず,arterial spin labeling(ASL)では早期相で両側ICA領域の信号は低下していた.翌日には症状は改善し,第3病日の頭部MRAでは両側ICAは良好に描出されASLも正常化していた.頸部MRAや脳血管造影の所見から頸部内頸動脈攣縮症と診断した.3ヶ月後に再発をきたし,ASLは攣縮時およびその回復過程における血行動態の経時的評価に有用であった.
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(臨床神経, 62:178−183, 2022)
key words:頸部内頸動脈攣縮症,arterial spin labeling(ASL),喫煙

(受付日:2021年5月26日)