臨床神経学

症例報告

水痘・帯状疱疹ウイルス感染によるブドウ膜炎を契機に神経ベーチェット病を発症したと考えられた1例

岡本 直己1),小川 暢弘1)* ,北村 彰浩1),山川 勇1),金 一暁1),漆谷 真1)

Corresponding author:滋賀医科大学内科学講座脳神経内科〔〒525-2192 大津市瀬田月輪町〕
1) 滋賀医科大学内科学講座脳神経内科

症例は69歳男性.持続する発熱,関節痛,視力障害を主訴に受診した.再発性口腔内アフタに加え,前房水水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus,以下VZVと略記)PCR陽性の両側ブドウ膜炎を認めた.神経症候は明らかでなかったが,髄液単核球増多,脳MRIで皮質下白質,基底核,小脳に造影病変を認め,ステロイド治療が著効した.本例はVZV感染症との鑑別が問題となったが,髄液VZV-PCR陰性,HLAB51陽性であり,ステロイドの効果と併せ急性型神経ベーチェット病(neuro-Behcet's disease,以下NBDと略記)と診断した.NBDの発症機序は未だ不明であるが,VZV感染が本疾患発症の契機となった可能性を示唆する貴重な例と考え報告する.
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(臨床神経, 61:640−645, 2021)
key words:水痘・帯状疱疹ウイルス,神経ベーチェット病,ブドウ膜炎,再発性口腔内アフタ

(受付日:2021年4月2日)