臨床神経学

症例報告

当院における破傷風11例の臨床的検討

梅本 大地1), 柴田 曜2)3)* , 森 仁2), 進藤 克郎2)

Corresponding author:倉敷中央病院脳神経内科〔〒710-8602 岡山県倉敷市美和1-1-1〕
1) 倉敷中央病院教育研修部
2) 倉敷中央病院脳神経内科
3) 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野

破傷風は土壌に存在する破傷風菌が体内に侵入することで発症する感染症である.当院が診断した破傷風11症例について先行外傷や治療経過など臨床経過について検討した.発症時の平均年齢は68歳であり,7例で集中治療管理を要した.先行外傷には明らかに汚染を伴う例もあれば,非常に軽微あるいはない例もあり,先行外傷の程度と重症度に相関はなかった.初診医が破傷風と疑えたのは11例のうち4例のみであり,開口障害や頸部の筋緊張亢進など典型的な症状を呈していても外傷が軽微,またはない場合には見逃される傾向にあった.破傷風を疑う際には生活歴に至るまでの病歴聴取および適切な神経診察を行い診断・治療を行う必要がある.
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(臨床神経, 61:537−542, 2021)
key words:破傷風,外傷歴,破傷風トキソイド

(受付日:2021年1月9日)