臨床神経学

症例報告

悪性腫瘍との鑑別が問題となり,治療経過より脳幹結核腫と考えられた1例

白石 渉1)2)3), 立石 貴久1)4), 園田 和隆1), 山ア 亮1), 吉良 潤一1)5)6)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
1) 九州大学大学院医学研究院神経内科学
2) 小倉記念病院脳神経内科
3) 白石内科医院
4) 久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門
5) 国際医療福祉大学大学院医学研究科トランスレーショナルニューロサイエンスセンター・福岡薬学部
6) 福岡中央病院脳神経センター脳神経内科

症例は35歳スーダン人男性.2012年1月より口腔内右側の苦みに続き,右顔面麻痺とふらつきが出現した.右側優位のブルンズ眼振,右顔面の全感覚低下,右末梢性顔面神経麻痺,開脚歩行を認め,頭部CTとMRIで脳幹にリング状の造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.全身PET-CTでは脳幹の腫瘤性病変,右鎖骨下リンパ節と右副腎に集積を認め,転移性脳腫瘍もしくは結核腫が疑われた.ツベルクリン反応とクオンティフェロンが陽性で,抗結核薬により臨床症状と画像所見が著明に改善したため脳結核腫と考えた.脳結核腫は悪性脳腫瘍様の画像所見を呈することも多く,各種検査所見や患者背景などを含めた評価が必要である.
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(臨床神経, 61:253−257, 2021)
key words:脳結核腫,転移性脳腫瘍,PET-CT,Target sign,リング状増強

(受付日:2020年9月5日)