臨床神経学

短報

無痛性心筋梗塞を合併した一過性全健忘の1例

原瀬 翔平1)*, 荒木 邦彦1), 小林 哲也2), 片多 史明1), 福武 敏夫1)

Corresponding author: 亀田総合病院脳神経内科〔〒296-8602 千葉県鴨川市東町929番地〕
1)亀田総合病院脳神経内科
2)亀田総合病院循環器内科

症例は66歳,女性.一過性の前向性健忘発作を訴え,外来受診した.高血圧以外の特記すべき既往歴はなかった.胸部症状はなく,意識清明であった.身体所見で神経脱落所見はなく,健忘以外の高次脳機能障害も認めなかったため,一過性全健忘(transient global amnesia,以下TGAと略記)と診断した.頭部MRIの拡散強調画像で左海馬および右脳梁体部に点状の高信号域が認められ入院とした.採血でトロポニンIが陽性,心電図で陰性T波が認められ,入院9日目に冠動脈造影で右冠動脈の高度狭窄を検出し心筋梗塞と診断した.TGAは予後良好な疾患とされているが,本症例のように無痛性に心筋梗塞を合併している場合があり注意を要する.
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(臨床神経, 61:136−139, 2021)
key words:一過性全健忘,無痛性,心筋梗塞

(受付日:2020年6月19日)