臨床神経学

症例報告

視神経脊髄炎スペクトラム病態の合併が疑われた脊髄梗塞の1例

刀坂 公崇1), 千原 典夫1)*, 赤澤 明香1), 上田 健博1), 関口 兼司1), 松本 理器1)

Corresponding author: 神戸大学大学院医学研究科・内科学講座脳神経内科学分野〔〒650-0017 神戸市中央区楠町7丁目5-2〕
1)神戸大学医学部附属病院脳神経内科学分野

症例は60歳代女性,突然の腰痛後,数分の経過で両下肢脱力,尿意消失を呈した.神経所見では対麻痺,第11胸椎髄節レベル以下の痛覚低下,膀胱直腸障害を認めた.胸腰椎MRIの拡散強調画像及びT2強調画像で下部胸髄内異常信号を認め,脊髄梗塞(spinal cord infarction,以下SCIと略記)と診断した.その後,血清抗アクアポリン4抗体陽性が判明.脳脊髄液検査での細胞数が上昇し,MRIのT2強調画像で病変が拡大しており,視神経脊髄炎スペクトラム(neuromyelitis optica spectrum disorder,以下NMOSDと略記)病態の合併を疑った.ステロイドパルス療法を施行し,MRIでの異常信号は改善した.SCIの発症に伴いNMOSD病態が疾患修飾要因として出現した可能性があり,病態を考える上で貴重な症例と考え報告する.
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(臨床神経, 61:127−131, 2021)
key words:脊髄梗塞,視神経脊髄炎,視神経脊髄炎スペクトラム,抗AQP4抗体

(受付日:2020年8月25日)