臨床神経学

原著

スモン原因解明から50年

久留 聡1)*

Corresponding author: 国立病院機構鈴鹿病院脳神経内科〔〒513-8501 三重県鈴鹿市加佐登三丁目2-1〕
1)国立病院機構鈴鹿病院脳神経内科

スモン(subacute myelo-optico-neuropathy)は,1960年代に多発した中毒性神経疾患である.腹部症状が先行し,下肢末端から上行する異常知覚・感覚障害,痙性麻痺,視力障害をきたす.当初は原因として感染が疑われたが,緑尿分析からキノホルム説が浮上し,疫学調査・動物実験により確認された.日本最大の薬害となった背景には,外用薬の内服薬への転用,安全神話,杜撰な投与量規制,国民皆保険制度による投与量増加,腹部症状の複雑性など多くの要因が存する.現在も恒久対策として患者検診が継続して実施されている.今後はキノホルム神経毒性機序や感受性の研究,薬害スモンの風化防止が重要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1051K)

(臨床神経, 61:109−114, 2021)
key words:スモン,キノホルム,薬害,神経毒性,風化防止

(受付日:2020年6月18日)