臨床神経学

短報

左内頸動脈先天的無形成に症候性右内頸動脈狭窄症を合併し,頸動脈ステント留置術を行った74歳男性例

M田 祐樹1)*, 池田 め衣1), 山下 悠亮1), 有水 琢朗1), 口 剛1), 松岡 秀樹1)

Corresponding author:独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター脳・血管内科〔〒892-0853 鹿児島県鹿児島市城山町8-1〕
1) 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター脳・血管内科

74歳男性.1か月前より歩行時のふらつきを自覚.頭部MRI検査では右中大脳動脈領域に新鮮脳梗塞巣を呈し,頸部血管超音波検査で右内頸動脈起始部の高度狭窄を認めた.左内頸動脈は存在が確認できず,頭部CT検査で左頸動脈管がないことから先天的左内頸動脈無形成と診断した.内科治療抵抗性の右内頸動脈狭窄症に対して頸動脈ステント留置術を行い,良好な経過が得られた.先天的内頸動脈無形成例は特殊な血行動態,解剖学的特徴を有する.特に脳梗塞合併例では,機序や病型の理解と,併存疾患の知識に熟知しておく必要がある.
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(臨床神経, 61:696−699, 2021)
key words:内頸動脈,無形成,頸動脈ステント留置術,neurocristpathy,頸動脈管

(受付日:2021年4月15日)