臨床神経学

症例報告

突発完成型の横断性脊髄症をきたし線維軟骨塞栓症を可能性の一つと考えた脊髄梗塞の1例

居積 晃希1), 松瀬 大1), 田中 弘二1), 今村 裕祐1), 山ア 亮1), 吉良 潤一1)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出3丁目1-1〕
1) 九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は44歳男性.食事中に突然の肩甲背部痛が生じ,その後両下肢の完全弛緩性麻痺,第6胸髄髄節レベル以下の表在覚・深部覚の完全脱失,膀胱直腸障害を生じた.造影CTで大動脈,Adamkiewicz動脈に異常なし.MRIで第2〜6胸髄に広範な拡散強調画像高信号域がみられ,同部位のT2高信号域は経時的に拡大した.免疫治療に反応なく,脊髄梗塞と診断した.塞栓源検索を行ったが明らかな異常なく,椎間板の変性とSchmorl結節を認め,脊髄梗塞の原因として椎間板線維軟骨を塞栓源とする線維軟骨塞栓症を疑った.突発完成型の脊髄障害では線維軟骨塞栓症による脊髄梗塞も可能性の一つとしてあげられる.
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(臨床神経, 61:33−38, 2021)
key words:脊髄梗塞,線維軟骨塞栓症,横断性脊髄症,前脊髄動脈,髄核

(受付日:2020年7月21日)