臨床神経学

症例報告

神経内ガングリオンと考えられた神経内多発嚢胞性病変による脛骨神経麻痺

江口 克紀1)*, 白井 慎一1), 岩田 育子1), 松島 理明1), 矢部 一郎1)

Corresponding author: 北海道大学神経内科〔〒060-8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目〕
1) 北海道大学神経内科

症例は39歳男性.右足底のしびれで発症し,徐々に感覚障害が悪化するとともに足趾の屈曲が困難になった.発症8か月後に当科を受診した.右下腿の脛骨神経支配筋の筋力低下,右アキレス腱反射低下,足底の表在覚低下があり,右膝窩および足根管部でチネルサインを認めた.MRIにて,右膝関節から連続し脛骨神経内に侵入する多発嚢胞性病変を認め,画像所見から神経内ガングリオンと考えられた.非典型的な末梢神経障害の症例ではチネルサインや腫瘤触知の有無を触診・打診にて確認し,神経内ガングリオンを考慮してMRIなどの画像検査を行うべきである.
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(臨床神経, 60:549−553, 2020)
key words:神経内ガングリオン,脛骨神経麻痺,チネルサイン

(受付日:2020年1月24日)