臨床神経学

症例報告

機械的脳血栓回収療法により回収された血栓内に真菌塊を認めた1例

片野 雄大1)*, 坂本 悠記1), 功刀 しのぶ2), 西山 康裕1), 清水 章2), 木村 和美1)

Corresponding author: 日本医科大学付属病院〔〒113-8603 東京都文京区千駄木1-1-5〕
1)日本医科大学付属病院脳神経内科
2)日本医科大学付属病院病理診断科

症例は88歳の男性である.右麻痺,失語を認め救急搬送された.来院時の頭部MRI/Aにて左中大脳動脈領域に新規梗塞巣と左内頸動脈の閉塞を認めたため,機械的脳血栓回収療法を施行した.その後内科的治療を行うも,左内頸動脈は再閉塞した.血栓病理でアスペルギルス真菌塊を認めた.副鼻腔炎と骨破壊を認めており,アスペルギルスが内頸動脈に直接浸潤し,血栓を形成し,閉塞したことが考えられた.血栓病理によって原因の特定に至った症例を経験した.原因不明の脳梗塞は,機械的血栓回収療法によって回収された血栓を確認することで,原因が判明する可能性がある.
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(臨床神経, 60:340−345, 2020)
key words:急性期脳梗塞,機械的脳血栓回収療法,血栓,病理,アスペルギルス

(受付日:2019年12月5日)