臨床神経学

症例報告

繰り返す意識消失と転倒を契機に急激に増悪する歩行障害を認めたAlexander病の1例

松山 友美1)*, 佐竹 真理恵1), 亀井 僚太郎2), 吉田 誠克3)

Corresponding author: 国家公務員共済組合連合会浜の町病院神経内科〔〒810-8539 福岡市中央区長浜3丁目3-3〕
1)国家公務員共済組合連合会浜の町病院神経内科
2)国家公務員共済組合連合会浜の町病院放射線科
3)京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科

41歳女性.20歳から小刻み歩行,21歳から意識消失を繰り返した.34歳時頭部MRIで大脳深部白質病変を認めたが確定診断に至らず.41歳時に転倒・頭部打撲を契機に歩行障害が増悪.注視眼振,発語障害,腱反射亢進,病的反射陽性,自力歩行不能だった.頭部MRI にて延髄と上位頸髄の高度萎縮,GFAP遺伝子にp.R79H変異を認めAlexander病(Alexander disease; AxD)と診断.意識消失の成因として起立性低血圧と血管迷走神経性失神,心因性非てんかん発作が考えられた.転倒・頭部外傷を契機に歩行障害が急激に増悪した経過はAxDの病態および管理を考える上で重要である.
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(臨床神経, 60:137−141, 2020)
key words:Alexander病(AxD),意識消失,けいれん,心因性非てんかん発作,転倒

(受付日:2019年7月4日)