臨床神経学

症例報告

発症早期から経時的な画像検査を行ったsurfer's myelopathyの1例

伊賀崎 翔太1)*, 鈴木 洋司1), 酒井 直樹1), 竹ノ内 晃之1), 篠原 慶1), 金本 忠久1)

Corresponding author: 焼津市立総合病院〔〒425-8505 静岡県焼津市道原1000番地〕
1) 焼津市立総合病院神経内科

Surfer's myelopathy はサーフィン初心者に発症する稀な非外傷性脊髄損傷とされる.症例は17歳女性.初めてのサーフィンのレッスン後に高度の対麻痺,両鼠径部以下の感覚障害,膀胱直腸障害を認めた.発症6時間後の脊髄MRIのT2強調画像で第8胸椎レベルから円錐部にかけて髄内高信号を認めた.脊髄の髄内高信号は第3病日には拡大を認め第8病日には軽減を示した.ステロイドパルス,抗浮腫治療を行い,約3週間後より運動機能や膀胱直腸障害の改善を認めた.本症例は,経時的に脊髄MRIを行うことにより初期の病変の拡大をとらえた.さらに画像上の改善と症状の軽快とのタイムラグがあることを示した.
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(臨床神経, 60:752−757, 2020)
key words:surfer's myelopathy,脊髄損傷,MRI,経時的変化

(受付日:2020年2月13日)