臨床神経学

短報

筋生検から診断に至った全身性ALアミロイドーシスの1例

矢田 知大1)2)*, 三輪 隆志1)3), 荒木 克哉1), 木田 亨4), 豊岡 圭子2), 西野 一三5), 巽 千賀夫1)

Corresponding author: 国立病院機構大阪刀根山医療センター脳神経内科〔〒560-8552 大阪府豊中市刀根山5丁目1番1号〕
1)市立豊中病院神経内科
2)国立病院機構大阪刀根山医療センター脳神経内科
3)大阪大学医学部医学系研究科神経内科学
4)市立豊中病院内科(血液内科)
5)国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部

症例は69歳男性.1年前から緩徐に進行する易疲労性があり,初診時に下肢優位の四肢近位筋の筋力低下と嗄声,軽度の嚥下障害を認めた.三角筋の筋生検でring fiber様の構造を有する筋線維と血管壁におけるアミロイド沈着があり,アミロイドミオパチーと診断した.血中,尿中でκ型Bence-Jones蛋白を検出し,骨髄検査で異形形質細胞の増加を認め,多発性骨髄腫によるALアミロイドーシスと診断した.上部下部消化管でも生検でアミロイド沈着を認めた.化学療法を行ったが,筋力低下が進行し誤嚥性肺炎で死亡した.筋生検を契機に全身性ALアミロイドーシスの診断と治療を経験した1例だった.
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(臨床神経, 60:60−63, 2020)
key words:アミロイドミオパチー,ALアミロイドーシス,多発性骨髄腫,筋生検

(受付日:2019年6月27日)