短報
神経生検で血管炎の所見を認めた，強皮症に伴う多発性単ニューロパチーの1例
加納 裕也1）＊ 加藤 秀紀1）, 小池 春樹2）, 勝野 雅央2）, 小栗 卓也1）, 湯浅 浩之1）
＊Corresponding author: 公立陶生病院脳神経内科〔〒489-8642 愛知県瀬戸市西追分町160番地〕
1）公立陶生病院脳神経内科
2）名古屋大学神経内科
68歳女性．強皮症関連の間質性肺炎で通院中，両下肢のしびれと左下垂足が出現した．左下肢優位に筋力低下と温痛覚低下を認め，神経伝導検査の結果より多発性単ニューロパチーと診断した．病態把握のため左腓腹神経生検を行ったところ，神経周囲の小血管にリンパ球浸潤を認め，血管炎によるニューロパチーと考えられた．内服中のステロイドを増量したところ，徐々に症状の改善を認めた．強皮症に伴うニューロパチーでは神経周囲の線維化が関与したとする症例報告が多いが，本例のように血管炎の場合はステロイド治療が奏功する症例もあり，神経生検で病態を正確に把握することが重要と考えられる．
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(臨床神経, 59：604−606, 2019)
key words：強皮症，ニューロパチー，神経生検，血管炎
（受付日：2019年5月9日）
