臨床神経学

症例報告

異なる症状持続時間とMRI所見を示した再発性一過性全健忘の1例

橋本 剛1)*, 石束 光司1), 桑野 幸1), 陣内 重郎1), 吾郷 哲朗2), 中根 博1)

Corresponding author: 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター脳神経内科〔〒811-3195 福岡県古賀市千鳥1丁目1-1〕
1)独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター脳神経内科
2)九州大学大学院医学研究院・病態機能内科

症例は66歳の男性である.数時間の前向性健忘症状を主訴に入院し,MRI,脳波では異常所見を認めず,一過性全健忘と診断された.その約1年後に20分間の健忘症状が出現し来院.脳波異常は認めなかったが,MRI拡散強調画像で右海馬に高信号域を認め一過性全健忘の再発と診断した.一過性全健忘再発症例において,初発と再発で異なる症状持続時間とMRI拡散強調画像所見をともに示した報告はこれまでになく貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 59:575−578, 2019)
key words:一過性全健忘,再発,拡散強調画像,症状持続時間

(受付日:2019年5月14日)