臨床神経学

症例報告

エドロホニウムテスト偽陽性であったMiller Fisher症候群の1例

米元 康祐1)*, 野村 俊一1), 清水 愛2), 坂尻 顕一1), 新田 永俊1)

Corresponding author: 金沢医療センター神経内科〔〒920-8650 石川県金沢市下石引町1-1〕
1)金沢医療センター神経内科
2)金沢大学附属病院神経内科

症例は69歳女性.先行感染後に両側眼瞼下垂,全外眼筋麻痺,運動失調,四肢腱反射低下が出現し,Miller Fisher症候群(MFS)が疑われた.重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)の除外のためエドロホニウムテスト(edrophonium test; ET)を施行したところ,眼球運動は改善しないものの眼瞼下垂に改善を認めた.症状の日内変動がないこと,低頻度反復刺激誘発筋電図で減衰現象がないこと,抗アセチルコリン受容体抗体陰性であったことから,MGの合併は考えにくくET偽陽性と考えた.後日,抗GQ1b抗体陽性からMFSと確定診断した.ET偽陽性は他疾患でみられるが,MFSでの報告例はなく,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 59:345−348, 2019)
key words:Miller Fisher症候群,エドロホニウムテスト,偽陽性,抗GQ1b抗体

(受付日:2018年10月4日)