臨床神経学

症例報告

緩徐に進行する球麻痺症状を呈し,運動ニューロン疾患が疑われた視神経脊髄炎関連疾患の1例

武田 清明1)2)*, 吉村 賢二1)3), 神吉 理枝1)4), 森畑 宏一1), 中野 智1)

Corresponding author: 大阪市立総合医療センター神経内科〔〒534-0021 大阪市都島区都島本通2-13-22〕
1)大阪市立総合医療センター神経内科
2)現:国立病院機構京都医療センター脳神経内科
3)現:京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学
4)現:西宮協立脳神経外科病院神経内科

症例は52歳女性.4か月の経過で緩徐に進行する嚥下・構音障害と舌萎縮を認めた.運動ニューロン疾患(motor neuron disease; MND)をまず疑ったが,神経伝導検査,針筋電図では異常はなかった.頭部MRIで延髄背側部に病変を認め,抗アクアポリン4抗体が陽性であったため,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorders; NMOSD)と診断した.NMOSDは,稀ながら本症例のように舌萎縮を伴う球麻痺症状が緩徐に進行する経過を呈することがある.緩徐に進行する球麻痺・舌萎縮の鑑別疾患としてNMOSDを挙げることは臨床上重要である.
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(臨床神経, 59:139−143, 2019)
key words:視神経脊髄炎関連疾患,抗アクアポリン4抗体,運動ニューロン疾患,難治性吃逆・嘔吐,舌萎縮

(受付日:2018年8月10日)