臨床神経学

総説

自己免疫性自律神経節障害

中根 俊成1)*

Corresponding author: 熊本大学病院分子神経治療学寄附講座(脳神経内科)〔〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1〕
1)熊本大学病院分子神経治療学寄附講座(脳神経内科)

自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy; AAG)は自律神経系が免疫異常の標的となる比較的新しい疾患概念である.本症では抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体は病原性自己抗体として病態の鍵となる役割を果たす.本症は広範な自律神経症状以外に自律神経系外の症候(中枢神経系障害,感覚障害,内分泌障害)や併存症(膠原病,腫瘍)を呈することが判ってきた.また,中には消化管運動障害など極部分的な自律神経症状しか呈さないために診断困難である症例が存在する.多くの症例では複合的免疫治療によってコントロール可能となるが,難治例もある.本稿ではAAGとその関連疾患における自己抗体の役割から実臨床に関連する話題までを総説する.
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(臨床神経, 59:783−790, 2019)
key words:自己免疫性自律神経節障害,アセチルコリン受容体,抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体,自律神経障害,自己免疫性消化管運動障害

(受付日:2019年8月14日)