臨床神経学

症例報告

髄膜炎様症状で発症した視神経脊髄炎関連疾患が疑われる1例

大達 清美1)2)*, 飯尾 滉太郎3), 宇野 研一郎1), 川田 憲一1), 冨本 秀和4)

Corresponding author: 桑名市総合医療センター脳神経内科〔〒511-0061 桑名市寿町3丁目11番地〕
1)松阪中央総合病院脳神経内科
2)桑名市総合医療センター脳神経内科
3)松阪中央総合病院循環器内科
4)三重大学大学院医学研究科神経病態内科学

20歳女性.1週間前から頭痛,発熱,嘔気があり受診した.軽度の項部硬直以外に異常所見はなかった.単核球優位の髄液細胞増多を認め,髄膜炎疑いで入院した.入院3日目に過眠となり,MRIにて両側視床下部と橋内側,頸髄から胸髄髄内の広範な異常信号を認めた.視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)を疑い,ステロイドパルス療法を施行したところ解熱し,傾眠およびMRIの異常信号が消失した.視床下部病変を伴うNMOSDでは髄膜炎様症状で発症することがあるため,無菌性髄膜炎と考えられる患者でも,早期のMRI撮像が重要と考えられた.
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(臨床神経, 59:736−739, 2019)
key words:視神経脊髄炎関連疾患,髄膜炎,視床下部

(受付日:2019年5月9日)