臨床神経学

総説

ペリサイトは脳機能にとってなぜ重要なのか?

吾郷 哲朗1)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学(第二内科)〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
1)九州大学大学院医学研究院病態機能内科学(第二内科)

ペリサイトは毛細血管から細小血管のレベルにおいて内皮細胞を囲む基底膜に埋もれた形で存在する血管壁細胞である.他臓器に比し,脳では内皮細胞に対する存在比率が高く,内皮細胞との密接な相互作用により血液脳関門の形成と維持,脳血流の制御に決定的な役割を果たしている.絶え間ない血流供給が必要な神経細胞にとって健常ペリサイトの存在は不可欠である.ペリサイト機能障害は,加齢,生活習慣病,低灌流/ 虚血,薬剤,遺伝要因などによってもたらされ,脳血管障害のみならず様々な脳疾患の発症や進展に関与しうる.またペリサイトは脳傷害時の組織修復においても重要な役割を果たしており,機能回復の視点からも注目されている.
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(臨床神経, 59:707−715, 2019)
key words:血液脳関門,脳血流,neurovascular unit,ペリサイト,組織修復

(受付日:2019年8月16日)